【誹謗中傷と弁護士費用】誹謗中傷の損害賠償請求で発信者情報開示にかかった弁護士費用を相手に請求できるか!?

金 ドル
弁護士 若林翔
2020年01月11日更新

ツイッターなどのSNSや5ちゃんねるなどの匿名掲示板にて誹謗中傷され,発信者情報の特定まで至った後は実際にSNSや匿名掲示板に書き込んだ者に対して,損害賠償を請求する流れになるのが一般的となります。

発信者の特定のためには,仮処分や開示訴訟などを行う必要があります。専門家でもある弁護士に手続きを依頼するのが通常でしょう。この場合,仮処分と開示請求訴訟と裁判を2つやることが多いです。このように手続きが多くなることからも,まとまった弁護士費用がかかることがままあります。

そこで,発信者の特定にかかった費用を相手方に請求できないかが,書き込まれた側の重大な関心事になります。

結論としては,その弁護士費用は相手に負担させることができる場合があるが,全額が認められない場合もあります

この記事では,一体どれほどの弁護士費用がかかり,それをどこまで書き込んだ相手に請求できるのかを解説していきます。

裁判で認められる弁護士費用の相場

まずは,裁判で弁護士費用を請求することが認められるのかをみていきます。

裁判例では,調査費用と弁護士費用に分けて論じられることがあります。

この場合,調査費用というのは,発信者を特定するまでの発信者情報開示の手続きにかかった費用です。これには,発信者情報開示の手続きで弁護士に払った弁護士費用も含まれます。

弁護士費用と単にいう場合は,損害賠償請求にかかった弁護士費用という意味です。この場合,通常の不法行為の損害賠償請求をした場合と同様に,認められた金額の1割程度が弁護士費用として認められることが多いです。

 

相手にどれほど弁護士費用(調査費用も含む)を請求できるのか判例調査をしてみたところ,相場としては1割〜8割といったところでしょうか。

もちろん,弁護士費用が認められるためには後述するとおり,相手方に「不法行為」が成立している必要があります。
そもそも,相手方に不法行為が成立していないという判断が裁判所からなされた場合には,弁護士費用が認められる根拠がなくなってしまいます。

また,弁護士費用というのは,裁判費用だけみても各法律事務所によって異なります。

もし医療費のように保険適用の場合には一律に判断することも可能なのでしょうが,弁護士費用は保険適用はなく一律にはなりません。

もっとも,裁判外で任意交渉を行って和解したような場合には,相手の資力にもよりますが慰謝料と弁護士費用をあわせた全額を回収できる事例もあります。

どれだけ弁護士費用を請求できるかといった点は,実際にかかる弁護士費用と強く関連しているため,以下で誹謗中傷されたさいの実際の弁護士費用の内訳をみていきましょう。

弁護士費用の相場の裁判例抜粋①(弁護士費用の8割が認められた例)

【事案の概要】
本件は、原告が、被告に対し、被告が、掲示板サービス「A」(以下「本件掲示板」という。)((省略))に、別紙・・・の各投稿(以下、時系列順に「本件投稿1」などといい、全投稿を総称するときは、「本件各投稿」という。)をし、これらの投稿が原告の名誉感情を侵害するものであり、原告に対する不法行為を構成するとして、民法709条に基づき、損害合計198万2602円及びこれに対する本件投稿1がなされた日(不法行為日)である平成30年5月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(当サイト注釈:原告の主張としては,慰謝料として80万円,発信者情報の取得に要した費用として100万2602円,被告に対して損害賠償を求めるために必要であった弁護士費用として18万円の合計198万2602円となり,弁護士費用としては118万2602円を請求している。)

【判旨】
(1) 慰謝料 20万円
前記1で認定説示したとおり、本件各投稿は、複数回にわたり、誰もが閲覧できるインターネット上の匿名掲示板である本件掲示板(当該事実自体は、甲1、2及び弁論の全趣旨)において、原告を「ブス」や「ブサイク」などとその容姿を誹謗中傷し、さらに、原告の交際相手を誹謗中傷した上で原告を「尻軽」と誹謗中傷しており、そのような被告の投稿行為の回数や、掲載した本件各投稿の内容等一切の事情を斟酌すると、原告の受けた精神的苦痛を慰謝するに足りる金額は、20万円を下らないと認められる。(2) 発信者情報開示に要した費用 85万9373円
ア 略
イ 本件訴訟は、インターネット上の名誉感情侵害を理由とする損害賠償請求であり、このような事案において、投稿をした者を特定するには、本件掲示板の運営者に対する経由プロバイダの開示請求及び経由プロバイダに対する発信者情報開示請求を経る必要があり、その手続を原告が個人で行うのは困難であったと認められ、そのような本件訴訟の性質等からすれば、上記発信者情報の開示に要した費用のうち、社会通念上相当と認められる範囲については、本件各投稿と相当因果関係のある損害と認められる。
そして、原告が要した上記金額のうち、被告の不法行為と相当因果関係のある開示関連費用について検討するに、前記1で認定説示したとおり、本件投稿3に係る原告の主張には理由がないことからすれば、被告の不法行為と相当因果関係のある原告の損害は、85万9373円を下らないと認められる。
(3) 弁護士費用 10万円
原告は、訴訟代理人に委任して本件訴訟を追行しているところ、被告の不法行為と相当因果関係のある原告の損害額は、10万円を下らないと認められる。
(4) 合計 115万9373円

引用|東京地方裁判所平成30年(ワ)第28980号

誹謗中傷された側は,弁護士費用として118万2602円を請求しているところ,裁判所としては95万9373円(85万9373円+10万円)を認容しているため,割合としては81%にも及びます。
この裁判例は「投稿をした者を特定するには、本件掲示板の運営者に対する経由プロバイダの開示請求及び経由プロバイダに対する発信者情報開示請求を経る必要があり、その手続を原告が個人で行うのは困難」と判断しています。
裁判というのは非常に厳格な手続きの下で行われるため,弁護士でない限りはログ保存の期間内に勝訴判決をとって発信者情報が開示されることは困難といえるでしょう。

たしかに,発信者情報開示の費用として100万円近くかかる法律事務所もあるようですが,当法律事務所では着手金20万円〜での依頼を受け付けています。

弁護士費用の相場の裁判例抜粋②(弁護士費用の1割しか認められなかった例)

【事案の概要】
本件は、在日朝鮮人である原告が、A上において被告のアカウントを利用してされた・・・各投稿(以下、同別紙の番号に対応させて「本件投稿1」等という。)によって、原告の名誉が毀損され(本件投稿1ないし10)、または、社会生活上受忍すべき程度を超えて原告の平穏に日常生活を送る利益が侵害された(本件投稿11)と主張して、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料500万円及び弁護士費用50万円の合計550万円並びにこれに対する最終の不法行為日である平成30年2月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

【判旨】
被告が平成28年11月25日から平成30年2月22日にかけて原告の名誉を毀損する内容の本件投稿1ないし10を行うなど名誉毀損行為が複数回にわたって行われていたこと、その記載内容も、原告に対する侮辱的な表現とともに、原告をテロリストや外国の工作員であるなどと指摘するものであること、その根拠として被告が提示する事情や証拠も裏付けの乏しいものといわざるを得ないこと、そのほか本件に現れた一切の事情を総合考慮すると、被告の不法行為により原告が被った精神的苦痛を慰謝するための金額は、50万円と認めるのが相当である。
また、本件の事案の内容などを考慮すると、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用として、慰謝料額の1割に当たる5万円の賠償を認めるのが相当である。

引用|東京地方裁判所平成30年(ワ)第8258号

この裁判例では,認容された弁護士費用は裁判例①に比べて大幅に少ない1割でした。
①との比較でいえば,この事案においては発信者情報開示手続きを経ていないため,単に慰謝料相当額の1割が認められたということでしょう。

弁護士費用の相場の裁判例抜粋③

【事案の概要】
本件は、社会人向け音楽教室を運営する株式会社である原告が、被告がインターネット上の掲示板に投稿した記事により名誉を棄損されたと主張し、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害金374万5207円及びうち187万2604円に対する1回目の投稿日(平成28年5月10日)から、うち187万2603円に対する2回目の投稿日(同年7月20日)から各支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

【判旨】
(1) 無形損害 略
(2) 調査費用
証拠(甲6~10)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件記事1の投稿者を特定するため、原告訴訟代理人弁護士に依頼し、Cの管理者であるヤフー株式会社に対するIPアドレス等開示の仮処分命令を得て、投稿者のIPアドレスの等開示を受けた上、IPアドレスから判明したインターネットプロバイダーであるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に対して発信者情報の開示を求め、発信者として被告の住所氏名の開示を受けたことが認められる。そして、弁論の全趣旨によれば、原告は、原告訴訟代理人弁護士に対し、上記仮処分命令の申立て及び発信者情報開示請求の着手金として37万8000円(消費税込)、実費として別紙実費積算書記載のとおり2万6734円、計40万4734円を支払ったことが認められる。
上記仮処分命令の申立て及び発信者情報開示請求訴訟の提起は、被告に対する損害賠償請求をするための調査の一環であるから、その費用は被告の不法行為と因果関係がある損害といえる。もっとも、上記各手続は、本件記事1の投稿者を特定するために行われたもので、被告による本件記事2の投稿と上記各手続との間に直接の因果関係はないこと、原告が発信者情報開示請求訴訟の提起を余儀なくされたのは、開示要件が満たされているにもかかわらず、相手会社が任意に開示しなかったことが直接的な原因であること等を考慮すれば、上記費用の全額につき被告の不法行為による損害と認めることはできず、上記費用の約3割に相当する13万円に限り、相当因果関係のある損害と認めるべきである。
(3) 弁護士費用
本件事案に鑑み、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は、7万円と認めるのが相当である。
(4) 損害の配分
以上によれば、本件記事1及び2の投稿による原告の損害額は計70万円と算定されるが、各記事の摘示する事実の内容が同一であり、被告が約2か月のうちに続けて各記事を投稿したこと等を踏まえると、いずれの行為による損害が大きいとも評価することはできないから、各記事の投稿につき35万円の損害が生じたものと認めるのが相当である。

引用|東京地方裁判所平成29年(ワ)第8745号

この裁判例では,①②と異なり弁護士費用の内,発信者情報開示までの手続に関する弁護士費用は「調査費用」として判断されています。
そして,調査費用の3割にあたる13万円と,不法行為に基づく請求にかかる弁護士費用(調査費用とは異なる費用)として7万円が認められています。

このように事案によって認められる弁護士費用には幅があります。また,発信者情報が開示された後に,その後の損害賠償請求訴訟において弁護士費用がどれほど認められるかは実際に裁判所の判断を受けてみないことには,見極めが難しい面もあります。

誹謗中傷された相手を特定するのにかかる弁護士費用の内訳

相手に請求できるとはいっても,実際に相手からお金を回収するまでは書き込まれた側が負担しなければいけません。

それでは,書き込んだ相手を特定するための発信者情報の開示手続きについて一体どれほどの弁護士費用がかかるのかをツイッターを例にとって説明していきましょう。

ツイッターに書き込まれてから弁護士に依頼するまで

ペンネームで活動しているツイッターアカウントが,あなたの個人情報を書き込んだとします。

個人情報と聞くと本名電話番号自宅の住所などが想起できますが,身長や体重などもあなたにとっての個人情報ともいえます。

しかし,単に個人情報が記載されたからといってその全てがプライバシー権で保護されていると言うことは難しいです。特に裁判手続きで発信者を特定するためには,個人情報が書き込まれたことによってある程度の「権利侵害性」が生じたことが必要となります。

身長や体重が投稿されただけでは,権利侵害性があるとはいえず,もっといえば氏名などと紐付けられて投稿されない限りは「同定可能性(=その書き込みから誹謗中傷されている人物とあなたが同一であると認められること)」すら認定は難しいと言えます。

もっとも,あなたの氏名とともに私的に利用している携帯電話の番号や自宅の住所が書き込まれたとしたら,一般人の感覚からしたらその個人情報は公開されたくないと欲する事柄といえプライバシー権を侵害することもあるでしょう。

そのような投稿がされてしまったらすぐに弁護士に相談してください。
というのも,ツイッター社であれば3ヶ月間,KDDIやソフトバンクなどのプロバイダも3ヶ月程度で発信者を特定するための情報は削除されてしまいます。

その情報(ログ)が削除される前にログ保存請求というものを行う必要がありますが,詳細については別途解説しています。

関連記事:爆サイの書き込みを自分で削除・開示するやり方

 

弁護士に相談するさいには,相談料というものが発生します。
当法律事務所であれば,SNSの書き込みを削除・開示したいという相談であれば無料で弁護士との相談が可能となっています。

他の事務所も無料のところもあれば有料のところもあるので一概には言えませんが,弁護士に依頼するまでには生じる弁護士費用としては「法律相談料」があるでしょう。
※相場としては,30分/5000円〜1万円といったところでしょうか。

ツイッター社を相手にした仮処分の費用

ツイッター社に対しては,当該ツイッターアカウントのIPアドレスとタイムスタンプというものを開示請求することになります。詳細に解説するのは冗長になってしまうので,気になる方はこちらの記事を確認してください。

当法律事務所の場合には,こちらの費用案内ページにもあるとおり,弁護士費用として

・着手金 :20万円
・成功報酬:15万円
※別途,裁判日当や交通費,郵便代等が諸経費としてかかります。

プロバイダを相手にした開示訴訟の費用

ツイッター社からIPアドレスとタイムスタンプの開示を受けただけでは発信者を特定するには不十分です。
なぜかというと,ツイッター社はあくまで,不特定多数の者がつぶやける環境を提供しているに過ぎないからです。各アカウントがどこの誰かまでは管理していません。
そこで,問題になるのが回線事業者となります。ツイッターに投稿するさいは必ずネットに接続されているはずなので,投稿者が契約しているプロバイダを相手に契約者情報の開示請求訴訟を提起する必要が生じてきます。

この点に関しても詳細に記述すると冗長になるため先程紹介したこちらのページを確認してください。

プロバイダ相手に訴訟を提起するさいにかかる費用としては,

・追加着手金:10万円
・成功報酬 :10万円

この手続きでも日当郵便代等が発生することになります。
この開示訴訟で勝つことにより,プロバイダから契約者情報が開示されることになります。

この段階になって初めて発信者を特定することができ,損害賠償を請求できるようになります。

発信者を特定するまでにかかった弁護士費用の総額

では,契約者情報が開示された段階でかかる弁護士費用の総額はいくらほどになっているでしょうか。

上記の各種金額を合計すると,

弁護士費用の合計額:55万円

が当法律事務所の費用案内から算出した実際にかかる弁護士費用の合計となります。

誹謗中傷されただけでこんなにかかるの?!

と驚かれた方も多いと思います。

そうなんです。裁判手続きを2つおこなうため,弁護士費用というのはどうしてもかかってきてしまうのです。

もっといえば,権利侵害性が極めて微妙な案件の場合には,当然ツイッター社やプロバイダに付いている代理人弁護士から厳しい反論が想定されます。

その反論を崩して開示を認めさせるためには,裁判手続きが長引いて日当などの諸費用もかさむこともあります。

弁護士費用が請求できることの法律上の根拠

なぜ弁護士費用が請求できるかを知るためには,誹謗中傷を行った投稿者の責任が民法上どんな行為といえるかによります。

みなさんもニュースで耳にしたこともあるかと思いますが,ネット上で誹謗中傷する行為をしたさいには,誹謗中傷された人物に対して不法行為責任(民法709条)を負うことになります。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用|民法

あなたのプライバシー権という「権利」を,投稿者が誹謗中傷により「侵害」したことで,精神的苦痛などの「損害」が発生し,それらに因果関係が認められるからこそ,誹謗中傷という行為が民法上の不法行為責任を生じさせることになります。

そして,不法行為と相当因果関係がある「損害」については,不法行為により生じたものとして「損害」に含まれるとされています。

誹謗中傷された方が発信者を特定するためには,仮処分や開示訴訟を行わなければなりませんが,法律を普段扱うことのない一般人が,プロでもある相手方代理人の反論を潰して勝訴判決にまで持っていくのは極めて厳しいでしょう。

そうすると,本人訴訟で開示手続きを進めるという事案の難易度的にも,弁護士に依頼をするのが相当といえ,不法行為との因果関係が認められるというロジックになります。

別の例をいえば,歩行者が自動車に轢かれたときには病院にて治療を要するほどの怪我をするのは当たり前だから,その治療費は自動車を運転していた人が払ってね,とパラレルに考えると分かりやすいと思います。
要は,誹謗中傷したんなら弁護士使って開示訴訟までいくことも予想できるでしょ,と。

下記は実際に最高裁で判断された内容ですがマーカーが引いてある箇所を飛ばし見でも構いません。

不法行為の被害者が自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害であり、被害者が加害者に対しその賠償を求めることができると解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和四一年(オ)第二八〇号同四四年二月二七日第一小法廷判決・民集二三巻二号四四一頁)とするところである。しかして、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきところ(最高裁昭和三四年(オ)第一一七号同三七年九月四日第三小法廷判決・民集一六巻九号一八三四頁参照)、弁護士費用に関する前記損害は、被害者が当該不法行為に基づくその余の費目の損害の賠償を求めるについて弁護士に訴訟の追行を委任し、かつ、相手方に対して勝訴した場合に限つて、弁護士費用の全部又は一部が損害と認められるという性質のものであるが、その余の費目の損害と同一の不法行為による身体傷害など同一利益の侵害に基づいて生じたものである場合には一個の損害賠償債務の一部を構成するものというべきであるから(最高裁昭和四三年(オ)第九四三号同四八年四月五日第一小法廷判決・民集二七巻三号四一九頁参照)、右弁護士費用につき不法行為の加害者が負担すべき損害賠償債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥るものと解するのが相当である。

引用|損害賠償請求上告事件 昭和58年9月6日最高裁第三小法廷判決

理論的には,債務不履行責任に関する相当因果関係の規定である416条を類推適用して,不法行為と相当因果関係にある損害も,被害者保護と損害の公平な分担という観点から認めようというものとなります。

実際に弁護士費用は支払われるのか

ここまで法律上のポイントを解説してきましたが,実際に一番問題となるのはここのポイント。

たとえ,弁護士費用を請求する法的根拠がしっかりしていたとしても,相手方に損害を賠償できるほどの資力がなければ元も子もありません。

これはもはや法律上の問題ではなく相手の資力の問題です。

誹謗中傷と弁護士費用の関係まとめ

弁護士費用を請求できるとはいっても,相手方から支払ってもらうまでは当法律事務所の場合でも55万円〜(ツイッター社の場合)という金額を負担することになります。

ただ,その金額については,調査費用として相手に請求をして認められ,相手から払ってもらえる可能性もあります。

誹謗中傷する書き込みによって「就職が難しくなっている」「恋人に知られたくない」といったことから,費用がかかったとしても発信者情報を開示させて慰謝料を請求したい,と思う方も少なからずいることでしょう。

そんな場合には,当法律事務所の弁護士がきっと力になれると思うのでお気軽にお問い合わせください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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